2018年4月8日日曜日

壊れたアンプをバラしてみた

某所にて壊れたAVアンプを頂きましたのでサクッと解体して見ました。
我が家のようなウサギ小屋には5.1chサラウンドなんてないですが、この所ストレスマッハでジャンクに飢えていたものでつい…(^^;

AVアンプなのでなかなかの物量。の割にいたるところにあるJamicon…
音のYamaha、安くはないのだから何故そこにJamiconを…
発熱する電源とパワー段は1番最下層で、その上にセレクター基板?、その上にHDMIなどデジタル系が乗る3層構成。しかも両サイドにはそれらの基板をスタッキングする基板がついていたりで放熱性悪いし、やたらケーブルとプラスチックのロッキングスペーサでメンテナンス性が悪い。
発熱するヒートシンクの上を基板で覆いかぶせる設計はあまり宜しくない気が・・

伺った症状としては、夜中にAVラックを振動させるような破裂音?が二回+異臭がした。HDMIでARC接続で音が出ないらしい。
重いAVアンプが乗ったラックを振動させるほどの破裂音というのがすごく気になりますが…
とりあえず、初期症状を聞いているので、いきなり電源を入れるなんてチャレンジはせず、まずは分解し、隅々までチェックします。っと・・・

まず目についたのがスタンバイ電源。基板が真っ白になっていました。
こいつは仕組み的に、スタンバイ電源はSW電源で常時供給。PowerONにてリレー動作、100Vをトランスへ供給しますので、ここへは常時電源が供給されています。
配線を追いかけた感じ、SW電源はマイコン基板へ電源供給しているようです。
そりゃリモコンの待ち受けだからそうか。

気に入らないのが、この基板自体はケースの側面に立てて配置してあり、パターン面が外側に配置されているのですが、白くなってる原因が分からない。
こんな感じですね。

部品面も同様に真っ白です。(コンデンサの頭とかリレーの側面に注目)


 白い煙のようなものの発生源は不明ですが、ここで使われているシリコンゴムに半田ごてを当てると溶けて煙が出たので、可能性としては、基板の1番下にある、
放熱悪そうな所にSW整流用ダイオードが着いているので、そこからシリコングリスが揮発した?それとも単にフラックスが揮発した跡??

しかしそれだと、ハンダ面、部品面両方が白くなる理屈がわからない。
煙の痕跡から下から上へ逃げたのは間違いなさそうなんですが…

とりあえずサクサク分解していきます。

上部のHDMI基板を除去。
とにかくケーブルが多くメンテナンス性が悪い。
電源とアンプ回路はさらに下なのだが、プラスチックのスペーサでロック。というかカシメてあるので、経年劣化もあり、爪を無理やり外すと多分割れる。
あと大量の入出力端子がネジ止めされているので、これ以上は諦めた。


こいつらを止めているネジ、SP端子などを外さないと、真ん中の基板が抜けない・・・・

AVラックを振動させるほどの破裂音を出すコンデンサを突き止めたかったが…

真ん中の基板に乗っている電源の平滑コンは巨大なJamicon…
手前は三レギかな?
破裂はしてないようだが、ニチコンではないのはマレーシア製だからかコストダウンのためか?
この基板の真下に巨大なYAMAHAと書かれたパワーアンプ用のコンデンサとか電源回路があります。
このアンプ、いたるところにJamiconがあって萎える。

二階層目の基板を観察。
ここはセレクター基板かと思ったら、主にアナログビデオ信号回り(コンポジットや懐かしのD4端子とかコンポーネント信号とか)を扱う基板のようです。
・・・が見ての通りほぼジャンパと電源の一部が乗っている程度。
空きパターンが目立つことから、ほかのモデルでも流用できるような作りになっているみたい。
 
D4基板。基板のバリがそのまま。上にHDMI基板が乗るので見えないにしろ、一流メーカー品なんだからこういうの見ると残念。
あとやたらジャンパが多いのも何だかなぁ。
 
隙間から最下層のパワーアンプ部を覗いてみる。
5.1chなのでパワー段のトランジスタが大量に。FETかな?と思ったけど普通のトランジスタでした。エミッタ抵抗があるので普通のエミッタフォロアなアンプと思われ。
ヒートシンクの大きさ的に一つ一つの出力はそうでも無さそう。
TRの数的にBTL構成では無さそうです。今ならデジタルアンプかな。
アイドリング調整用の半固定抵抗が見当たらなかったり、スピーカの保護回路とかは見当たらないのですが・・・

っとのあたりで、とりあえず燃えたもの、破裂した残骸、異臭などは見当たらず。
これっという原因が分からないのですが、とりあえず真っ白になって確実に何か煙が吹いたと思われる電源基板のコンデンサを手持ちのものと交換。
交換したJamiconは特に破裂した形跡もなかったのですが、まぁ気持ち的にw
それ以外は観察した感じ原因になりそうな箇所はないのと、電源周りでショートや変色など危険な要素はないと判断。
真っ白になった電源基板を奇麗に清掃して組み立て、いざ電源ON!
異音異臭発煙などはなさそう。
動作テストでは無事ARCでTVからの音声拾えたので、輸送中放電してリセットがかかったのか、元から動いていたのかは不明ですが、とりあえず問題はないようです。
 (とはいえ、プリセットされたと思われる設定が残っていたのと、電解二重層コンデンサは見当たらなかったので、多分EEPROMかフラッシュメモリに保持しているのではと思う)

その後48時間ほどラジオをつけっぱなしにして動作させてみましたが、特に発煙や異音もなく。

その後、ネットでサービスマニュアルを見つけたので、デジタル系、HDMIのループバックテストをしてみましたが、問題ないようです。
過去のプロテクション動作をマイコンが記録しているようなので調べてみましたが、発動した記録はありませんでした。
破裂音の原因がはっきりしないのが若干心配ではありますがw

サービスマニュアルに回路図があったので見てみました。
今時のアンプは電源スイッチはおろか、VRなど全てマイコンのIOポートにぶら下げて制御なんですね。
アンプは意外にシンプルな構成、アイドリング調整も省略してる感じです。一昔前のビンテージアンプと構成にそう違いはないです。
アナログ回路がシンプルな分デジタルで補ってる印象です。一見した感じ、SPのショート保護回路とかなさそうですが、どうもマイコンのAD端子へつながっていて、アンプ部やスピーカ部の電圧監視し、異常があれば即座にSPのリレー開放、電源シャットダウンが行われるようです。
修理の時に症状が出ない。というのはよくある話なので、こいつはプロテクション発動時の履歴をいくつか保持していて、どういう原因でプロテクションが発動したか確認できるようになっていました。