2026年11月3日火曜日

MPX デコーダ V4 実機調整手順

 試作したMPXデコーダ基板V4の調整メモ

 GitHubのDoc配下にあるtest_signalsにあるCSVをAnalogDiscovery3のWaveGenに入力しテスト用MPX信号を生成し、調整をする。

 

 フェーズ1:準備

  • 外部電源に安定したDC5Vを供給。この電圧がずれると以降の調整が全部ずれる
  • 電源を切った状態でRV1を約20kに、RV2を約0.5kに調整をしておく

フェーズ2:DC電圧チェック

各部の電圧が設計値に入っているかチェックする 

  •  VREF_2.5v(U2 14pin) (U7 8pin): 2.5v
  • TP11(COMP): 約2.5v 
  •  MONO (U4 1pin): Highレベル(約5v) STEREO_LEDは消灯していること
  • TP12(VCTL): 2.1~2.9v
  • TP6(VCO-IN): 2.50v +-0.07v
  • TP5(VCO): 76KHz +-数%
  • TP3/TP10: 38KHz/19KHz 矩形波

実機で測定したところ、TP5の周波数が70.2KHzと想定より7.6%低い結果となった。

これは使用した74HC4046の個体差によるもの。 

TP3、TP10の周波数は35.1/17.6KHzとなり、分周比は設計通り。

R1の値を120Kから100Kに下げることでTP5を76.0KHzに調整した。 

フェーズ3:ロック電圧調整 

 AnalogDiscovery3を以下の条件でセットアップします。

測定にはDiscoveryBNC基板とx10のプローブが2本。BNCーワニ口が1本必要になります。

接続

 W1(Wavegenの出力)を終端抵抗なし(0オーム)にジャンパーをセット。BNCーワニ口を接続し、MPX入力端子(J1)に接続する。

Ch1にx10のプローブを接続。TP11に接続する

Ch2にx10のプローブを接続。TP5に接続する

WaveGenの設定

 TypeをCustomにする。

 Importをクリックし、mpx_L1k.csvを読み込む

 

 Frequencyを1KHz、Amplitudeを400mVに設定する

Scopeの設定

Ch1

Attenuation: 10x

Coupling: DC (ボード上のジャンパもDCにする)

Range: 500mV/div

Offset: -2.5v

Ch2

Attenuation: 10x

Coupling: DC

Range: 1V/div

Offset: -2.5v

 

 Time: 20us/div

Trigger: Source: WavegenC1, Normal

Measurements: CH1: Peak2Peak,Average CH2: Frequency

 

 

 

 

 測定手順

  1. 電源を入れて10分ほど待つ。(VCOが安定するまで)WaveGenはまだ停止したまま。
  2. プローブの配線をした後、ScopeをRUNしたあと、WaveGenをRUNする。
  3. ロックを確認する
    1. STEREO_LEDが点灯すること
    2. CH2のFrequencyが76.00KHzになって止まっていること。
    3. CH1のPeak2Peakが約2.0v、Averageが約2.48vであること。
  4. TP12(VCTL)の電圧が2.5v +- 0.2vであること
    1. 電圧が範囲外だった場合はRV1で調整をする
  5. TP8とTP7の間の電圧を測定。約+0.11vであること。
  6. WaveGenのRUNー>STOPを数回繰り返し、毎回確実にロックしてSTEREO_LEDが点灯すること。CH2が76KHzでロックされることを確認 

実際の測定結果は以下の通りとなった。

 STEREO_LED: 点灯
CH2: 76.000KHzでロック
CH1のPP:1.820v
CH1のAverage:2.453v
TP12: 2.53v

TP8-TP7 = 0.113v

5回とも再ロックOK

 フェーズ4:セパレーション調整

接続

W1:フェーズ3と同じくMPX入力に接続

CH1: x1プローブでJ2(OUT-L)に接続

CH2: x1プローブでJ4(OUT-R)に接続

WaveGenの設定

フェーズ3とおなじ

Scopeの設定

レンジ確認用

Ch1,Ch2ともに同じ設定

Attenuation: 1x

Coupling: DC

Range: 200mV/div

Offset: 0v

この状態でScopeをRUNし、WaveGenもRUNして、出力波形が約1.1Vppで波形が画面からはみ出していないことを確認。(Lchだけの信号なので片Chのみ1KHzのサイン波がでればOK

Spectrumの設定

有効チャンネル:Ch1,Ch2

Start/Stop: 0Hz/200KHz

Window: Flat Top (ch毎に設定がある)

 

Scale: dBV

 Phaseを有効化する (Degree)

 XCursorをクリックし、1KHzのマーカーを設定する。

 測定方法

  1. 電源を入れて10分まつ
  2. ScopeをRUNしたあと、WaveGenをRUNする
  3. STEREO_LEDが点灯することを確認
  4.  RV2をゆっくり調整し、-60dBV付近になるようにする。

OKなら、mpx_R1k.csvでLRを入れ替えた信号を入力し、反対側のdBVが同じく-60dBV付近になっていることを確認する。

位相のチェックは画面上からはできなかったので結果をCSVでExportし、生成AIに分析させた。

分析の結果MPX入力カップリングコンデンサC10の値が予想より悪化していることが判明。原因は子のコンデンサに秋月の古いF特性のものを使用したためDCバイアスにより容量がほぼ半分になったこと。
なのでC10をX7R特性の50v10uFのものに交換。

再度CSVをExportし、分析の結果改善されたことを確認。

ーーー

残課題

部品の個体差により、PDが非対称になっているため200Hz高調波が出ているらしい。

対策としてR61に200kを並列に接続する。

実際の放送を受信し、ステレオで受信できるか確認する、
 

 

 

 

 

 

 

 

2026年10月4日日曜日

生成AIを使用した電子工作を研究中・・・

 昨今の生成AIの進化は凄いですね!

「生成AIを電子工作に活用できないか? 」を個人的研究テーマとしてここ数年あれこれやっています。

生成AIを使用した電子工作というともっぱらArduidnoやラズパイなどプログラム用途が多いでのですが、私がやっているのは回路設計や動作検証支援です。

 

現時点で以下の点において生成AIの有用性を感じています。

* ふわっとした概要や要求事項をまとめ、機能ブロックや具体的な仕様に落とす

* 機能ブロック単位で具体的な回路構成を提案させる

* Digikeyや秋月電子から要求仕様を満たす部品を探させる

* LTSpiceやKiCadで作成した回路図、ネットリストを基に評価させる

* オシロスコープの波形スクショを提示し、回路図や制御プログラムのバグ取りをする

* Analog Discovery など各種ツールの使い方支援

* 基板上の部品配置のたたき台作成 

 

現時点では単一の生成AIですべてを網羅することは難しいようで、複数のAIに第三者レビューをさせながら詰めていく方法が有用です。

 あと画像認識能力はかなり高いので、ポケットオシロの写真をスマホでとってそのままアップロードレベルでも十分実用になります。

 また、アナログ回路、デジタル回路ともに今のところ設計自体に大きな支障は感じていません。


https://speakerdeck.com/akira345/hui-lu-she-ji-nobaibukodeingu

現在、アナログ回路の中でも難易度の高い高周波回路について生成AIを用いて設計、作成しています。

作成した回路図や基板、LTSpiceなどは GitHub にあげてあります。

 

2020年12月5日土曜日

子供用パソコンを修理してみた

 子供用パソコンのマウスがクリックできなくなったと修理依頼が来ました。

マウスは動くけどクリックが出来ないそうです。

まぁどうせマイクロスイッチの不良かなぁと思ったのですが、マウスをバラしてテスターを当てるとマイクロスイッチは動作している様子。という事は配線がどっかで断線しているな。

あちこちグニュグニュ動かしてみると、本体の付け根を曲げるとクリックに反応が。

げ、これ本体バラさんといけんじゃん・・・

 


 さて分解・・する前にキーボードが無茶苦茶汚い!!

なんか飴か何かをこぼしたのかネチョネチョするし。

下半分はネジを外せば簡単にバラせるのでまずはキーボードを洗う!!


 よく見るとキー配列ちゃんとQWERTYなんですね。


バラバラ~~

しかし子供向けに頑丈に作っているのかとにかくネジが多い。電動工具が欲しくなる・・

 よく見ると電池の所に逆接続防止のダイオードが入っていました。


 にしても作りが雑だなぁ。内部があちこちバリだらけだったり謎の汚れがあったり塗装ムラがあったり。

キーボード部分はICが載っておらず、マトリクス信号をそのままマザーボードへつないでいるようです。

DCジャックは補強してあり評価できる点なのですが、コネクタ使わず基板に直半田っすか。

 被膜が剥きすぎててショートしそうだし。絶縁はセロテープっすか(汗

 

キーボードは全部外して袋に入れて、洗剤入れてシェイク。後は水を切って一つずつティッシュや綿棒で落ちなかった手垢などを落とす・・


 手触りが全然違う!!

 なお、特に各キーにユニークな突起がついててそこしか嵌らない。なんていう作業上の工夫はなく、しかも裏側から嵌めるので地味に難儀しました。

 では本体をバラしていきます。まずは画面のヒンジを止めている隠しネジを・・って外れない。
無理やりこじると外れたけど接着剤で止めているようです。


 っでこの二か所のネジを外したらパソコンみたいに爪でパキパキ外れる・・訳もなく。

全面に貼られているシールを剥がさないといけません。

これが大変でして、再利用しないといけないからドライヤーで温めつつ端からゆっくり剥がすも大きいので必然的に何カ所かを指でつまんで外すことに。

つまんだところは糊の付きが悪くなるし、結構しっかりついていて中々剥がれないし。

 何とか引っぺがすと11個のネジが・・・Orz


ネジ多すぎだろ・・

 


 無駄にデカいわりに液晶が無茶苦茶小さいのですが、マザーボードはこんだけです。

1ChipのカスタムLSIが液晶制御、キーボードマトリクス処理、マウスにサウンドとDRAM制御と恐るべき集積度です。

ROMが見当たらないのですが、隣にあるEEPROMっぽいのに入っているのかな?
あとはBTLなアンプとDCDC制御ICが載っているくらいです。5V単電源で動作します。

この基板むっちゃ薄いんですよ。裏側はJTAGなのかファーム書き込みかデバック用っぽい端子がありました。
っで相変わらずコネクタ使わず直半田付けですか。

別に薄くも無いんだしコネクタ使ったほうが組み立て工数もかからない気がするのですが、コストなんですかね。

 マウス部分のコネクタは5線と7線があるようです。

繋がっていないところはCX、SYとあるので、もしかしたらボールマウス用の配線かも知れませんね。


マウス側もバラしてみます。子供向けパソコンとはいえちゃんと光学式マウスです。

昔は光学式マウスは高かったんじゃよ・・・

これも目立った部品はなく、もはや光学センサー部分1Chipで完結しています。

使っている配線に糸が入っていますね。一応引っ張りで断線しにくくする考慮はされているようです。


さて、問題の配線ですが、5芯であることは分かります。ですがこういう通信用ケーブルは一般に入手が困難です。かといって切れている付け根部分を切断して半田付けするとそこが脆くなってしまいます。

しかし、身近に5芯のケーブルがあるじゃないですか。



はい。100均で買ってきましたUSB通信ケーブル。

本当は太さ的にUSB延長ケーブルが欲しかったのですがどうやらもう販売されていないらしく。

USBケーブルは電源の+-に通信用D+D-、外装シールドの5芯のはずです。

シールド線に信号を流すのはいささかどうかと思いますが、そんなシビアな信号流すわけじゃないし。

 


 はい。ブチっと切断しました。

ってシールドされてないじゃん!!!

まぁ今回の用途では逆によかったけどこんな線でUSB-Cの高速通信流せるの??

 とりあえずサクッとはんだ付け。

引っ張られてもいいようにしっかり止める。


 っが元のより数ミリ細いので力いっぱい引っ張られると多分切れるなこれ・・

マウス側はコネクタがついていたのですが、一般家庭にコネクタ圧着工具なんてある訳もなく。

仕方ないので元の奴を流用します。

線が細すぎて熱収縮チューブがブカブカですが、カプトンで巻いときゃいいでしょ

(もはやビニテの扱い)



 最後に動作確認。


 無事動作したようです。

シールはズレてしまいましたがまぁ問題ないでしょう。